車を時間制限のない道に停め夫のアパートの入り口に走った。
ゲートの前に到着してにわかに気づいた!「どうやって中に入ればいいのか?」
彼のアパートのゲートの鍵は彼しか持っていない。
このアパートは住居者以外にゲートの鍵を渡しておらず、鍵をコピーすることを
禁じている。なので次女が大学時代の夏休みに彼のアパートに居候していたときは
ビルの隣のコーナーストア(お酒やタバコ、缶詰などを置いている小規模な
個人経営のお店)に鍵を預けて受け渡しをしていた。
管理人の電話番号もわからない。
ゲートに入居者の部屋につながるインターホンがあるが管理人の
名前も部屋番号も全く知らない。
こうしている間にも「彼が助けを待っているかもしれない」
パニック寸前の私は警察に電話をした。
「夫の職場から電話があり、出社していないので心配していると
連絡がありました。いまアパートの前にいて電話をしても、
呼び鈴を鳴らしてもまったく返事がありません。安否確認をしてください。」
慌てているので変な英語になっていたかもしれない。
警察官も不審に思うかもしれない。
アパートの前はバス停があり、騒音がひどく電話の相手の声が
聞き取れない。
電話に出た女性の警察官は、「時間ができたらそちらに行きますので、
所在地とあなたの名前と電話番号を教えて下さい。」
私が「どのくらいかかりますか?」と尋ねると、
「手が空いたら連絡します。」とのこと。
どうしていいかわからずゲートの前で50分ぐらいただただ待っていた。
その日は12時30分から理学療法士のアポイントメントがあったことを思い出し
キャンセル刷るためにクリニックの電話番号を探すが見つからずますますイライラ。
やっと電子メールから連絡先を見つけ、事情を説明し無事キャンセルすることができた。
誰か出てこないかな?などと思いゲートの中を覗き込むと、
ドアの上の方に「この建物についてのお問い合わせはこの番号に」と書かれた
小さなステッカーを発見!何だ会社の電話番号があるではないか!
なんで最初に気が付かなかったのか?おかげで50分も無駄にして
しまった。
早速管理会社に連絡を入れた。事情を説明しアパートの管理人の電話番号を
教えてもらった。管理人に電話をかけて再度説明をする。
「とにかく一刻を争うかもしれないので、早く確認していただけませんか?」
というと「よくみんな旅行とかいって連絡を忘れることとかあるわよ。
心配することはないと思うわ。」軽くいなされた。
私は「彼に限って仕事に連絡無しで欠勤することなんて考えられないんです。
部屋に行ってただ彼がいるかいないか、もしいたら大丈夫かどうか確認する
だけでいいんです!」と、くいさがった。
「本社に連絡して許可をもらって、鍵を借りてこなければいけないので
そこで待っていてください。」と冷たく言われた。
ただ待っているだけしかできない、もどかしさ。
いのあたりがキリキリと痛みだした。
続く
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