取り繕われた密室−8
この子はいつも爪を噛んでいる。 こんな場面でわけのない思考が浮かんでは消える。 正面から対処したくない、現実を受け入れたくない私の 脳内細胞はこれからやらなくてはいけないすべてのことに 物怖じしている。 法律上は娘である…
この子はいつも爪を噛んでいる。 こんな場面でわけのない思考が浮かんでは消える。 正面から対処したくない、現実を受け入れたくない私の 脳内細胞はこれからやらなくてはいけないすべてのことに 物怖じしている。 法律上は娘である…
娘と二人で階段を登り一番上に腰掛けた。 クリスティが娘の隣に座りハグをして 「残念だったわね。わたしも8歳のときにお母さんを なくしているの。だからあなたの気持ちがわかるわ。」 と慰めてくれた。 「捜査に時間がかかると思…
「彼に会わせてくください!」 私の理性は、自分の言っていることは状況的に無理だと知っていたが、 口をついて出てくる魂の声は「彼に合わせてください!」だった。 ただ、救急隊員のえらく事務的な物言いにカチッときた。 もう少し…
クリスティが鍵を差し込みドアを開けた。 救急隊員がラテックス製の手袋をはめ、 色々道具が入っているらしいバッグを持って 部屋に入っていった。 私とクリスティと私は廊下に残された。 私は階段の最上段に座り込んだ。クリスティ…
もどかしいやり取りにうんざりしていた私は、 「そんなごちゃごちゃ言ってないで、 さっさと部屋に行って確かめてくるだけじゃない!」 と心の中で毒づきながらも、待つことしかできない。 またバスが通り過ぎていった。 戻ってきた…
「なんで管理人が鍵を持っていないんだろう?」 普通、管理人は各部屋の鍵を持っているはずなのに。 ゲートが開き若い男性が出てきた。続いてロングヘアに 厚化粧の女装した人が出てきた。 私はかつて元夫から、管理人はトランスジェ…
車を時間制限のない道に停め夫のアパートの入り口に走った。 ゲートの前に到着してにわかに気づいた!「どうやって中に入ればいいのか?」 彼のアパートのゲートの鍵は彼しか持っていない。 このアパートは住居者以外にゲートの鍵を渡…
夫の埋葬が無事に済んだ。 夫の大学時代の親友の両親のお陰で 彼らの所有地の一角にお墓が作られた。 彼の大好きな静かな森の中、 鳥の声に囲まれ、 手彫りのレッドウッドの墓標の下 55年の今世のしがらみから 解き放たれて静か…
今日は長女と会う約束をしていました。 昨日電話で話した時に、「目が覚めたら電話してね。」 と言っておきました。 絶対午前中はかかってこないと踏んで、のんびりと洗濯をしたり、 友達に電話したりしていました。 12:38に娘…
「私が私らしく、あなたがあなたらしく」がモットーの 秋代村ですが、正直いうと、村長はときにものすご〜く落ち込みます。 どよよーん、と暗雲に閉じ込められた村長の口からは、 「いやだー」「ダメだー」「もう無理」「やっぱり出来…
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