お昼寝をしていたら亡くなった夫が夢に出てきた。
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私は家の中の家具を移動させて模様替えをしていた。
ヘッドボードとして使っている棚を、突然入ってきた彼が
グーンと前に押し出して普通の棚としてアレンジした。
新しいボーイフレンドもいるのに、勝手に家具を動かしていく。
「やめてよね。」と私は文句を言った。彼は無言で
今度はほかの部屋にある小さなテーブルを移動させている。
いつの間にかボーイフレンドはいなくなっていた。
なぜか私たちは二人で模様替えを続行していた。
そして突然、「そういえば、家具屋さんに注文したまま取りに行ってない
椅子がなかったっけ?」
と思い出し、二人で出かけた。
やたら忙しい、危険そうな道を二人で歩き
到着した家具屋さんはものすごく暗い
倉庫のようなところ。
サンフランシスコの中でもあまり治安のよくない
ところにあるけど、有名な老舗の家具屋さん。
中に入り、一人の店員に事情を話す。
こういう老舗の店員さんはお客の顔をしっかりと覚えている。
「アルディス様、ご注文いただいた椅子は出来上がっています。
とりにこられなかったので、こちらに保管してございます。」
まだ二人が一緒だった20年前にオーダーした、
ペパーミントグリーンのタフタの生地の椅子。
別居した時になかったので、どうしたんだろうと
思ってはいたのだが、そのあとは忘れ去っていたという設定だ。
二人はごく自然に会話し、彼は3時からのシフトだったので
「そろそろ仕事にいかないと遅刻するよ。時間は大丈夫?」
と心配する私。
「大丈夫。」とほほ笑む彼。
「でもそろそろ、行かなくっちゃ」と一人職場に向かう彼を
見送って、自分も帰路についた。
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寝ぼけ眼の私は、もう彼がなくなっていたことを思い出した。
死んだ人は夢の中で声を出すことはないといわれている。
会話はテレパシーだったのかな?
明日は彼の誕生日。
生きていたら57歳。
夢の中であえただけで、とてもうれしかった。
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