料理本「ファニー・ファーマー・クックブック」

先日引っ越し中の長女と話しているときに、

料理本の話になりました。

娘は先日亡くなった彼女の父親のアパートに引っ越すことに。

お父さんの飼ってた猫のためにというのが最大の理由でした。

(猫は家に着くというので。)

亡くなった父親は、料理が好きで台所には

かなり本格的な調理器具と料理本があります。

次女は小学校4年生の時に作文で、

”Daddy is a great cook, Mommy is a soso cook”

「お父さんはとっても料理が上手、お母さんはまあまあ。」

と書くくらいでした。

 

元夫はゲイとしてカミングアウトしていて、

私たちは正式に離婚をしましたが、ずっと友達でした。

次女の大学の卒業式には二人で旅行しました。

感謝祭やクリスマスには彼のうちで一緒に食事をしたり、

長女の誕生日には一緒にうどん屋さんに行ったり。。。

 

ファニー・ファーマー・クックブックは私にとっての

アメリカ料理のバイブル的存在でした。

結婚したて、Knob Hillのワンルームのアパートに

住んでいた時、夫は仕事と学校で朝7時に出て、

夜中の12時ごろに帰ってくる生活でした。

2匹の猫と一緒にうちにいた私は、せめて美味しいものを

夫に食べさせたくて料理にいそしんでいました。

幸い日本人街が近かったので、日本食の食材にはことを欠きませんでした。

アメリカの料理はまだ見よう見まねで、作ってみたりもしました。

当時はインターネットでレシピが検索できる時代ではなかったので、

トライ アンド エラー、試作につぐ、試作!

時間があるので、つい、実験をしてみたくなり、

夫には試作品をよく食べてもらいました。

ついに業を煮やした彼は、ファニー・ファーマー・クックブックを

私に手渡し、「最初はこの本の通りに作ってみて、次からは

実験してみてもいいよ。」と言いました。

 

アメリカの料理をあまり知らない私にとっては

日本と違って値段の手頃なバター、チーズ、牛肉、

みたこともない野菜を使って料理を始めました。

当然娘たちもファニー・ファーマー・クックブックから

私や父親が料理をしていたのを知っています。

彼女たちにとっても懐かしい家庭の味のいくつかは

この本のレシピでもあるのです。

ファニー・ファーマー(1857年ー1915年)は

ボストンで活躍した料理研究家です。

病気のために大学に行けなかった彼女は、

30歳になってから料理学校に入学し、のちに

レシピだけではなく、栄養学、衛生学、食品化学などの知識を

踏まえた「ボストン料理学校クックブック」のちの

「ファニー・ファーマー・クックブック」を出版しました。

この本は1896年に出版され、100年後の1996年

13版を重ね、2020年に至った今日でも、

アメリカの伝統的な家庭料理の本として

その地位を確立しています。

彼女はなくなる七日前まで講義や、新しいレシピの開発

をしていたそうです。

写真に使っているのは実は長女の本で、

「お父さんは、珍しい料理の本いっぱい持ってるのに、

一家に一冊絶対ありそうなファニー・ファーマーを

持ってないのよー。私のやつ見つからないし、困るわー。」

文句を言っていたので、もしやと思い

わたしのクックブックの棚を見たら

「あららー、うちにあったのね。テヘッ!」

ということで早々に返しに行こうと思っています。

手作りパンを持って。。。

 

 

 

 

 

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